コラム 人事の旬な話題

2025年11月14日
従業員の評価への不信感を解消する方法
~人事制度の実効性を高める「評価運用」の実践ポイント~
1.評価への不安が人事制度の効果を損なう
「上司は本当に正しく評価できるのか?」「公平・公正な評価が実現できるのか?」――
人事制度の改定支援で実施する従業員アンケートでは、こうした「評価に対する懸念」が常に上位に挙がります。いかに優れた等級制度や報酬制度を整えても、評価制度の運用が適切でなければ、従業員の信頼は得られず、人事制度全体の実効性は高まりません。
今回は、評価制度の運用品質を向上させ、従業員の納得感を高めるための実践的なポイントをお伝えします。
2. 評価運用における2つの根本課題
1)評価の「仕組み」と「基準」が不明確
多くの企業では、評価項目や評価基準が曖昧なまま運用されています。「目標設定が抽象的で達成度が測れない」「行動評価の基準が人によって解釈が異なる」といった状況では、評価者も被評価者も迷いが生じ、評価結果への納得感は得られません。
2)評価者への信用・信頼が不足している
評価者自身が制度を十分に理解していない、部下の行動を観察できていない、フィードバック面談のスキルが不足している――こうした状況では、いくら制度が整っていても「評価される側」は不信感を抱きます。評価者の能力と姿勢が、評価運用の成否を左右するのです。
3. 具体的な解決策・実践方法
1)評価基準の明確化と客観性の担保
目標達成評価では「SMARTの法則」(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)を踏まえた目標設定を徹底します。行動評価では、等級ごとに行動基準を明文化し、上下等級間での違いを比較できるようにすることで、評価の透明性が高まります。また、絶対評価を基本とし、個人の到達度や行動発揮度を客観的に測る仕組みを導入しましょう。
2)評価プロセスの公正性を高める仕組み
目標設定や評価結果について、評価者間で合議による擦り合わせを行うことで、評価のバラつきを抑制できます。また、フィードバック面談を定期化し、運用改善を継続的に行うことで、評価プロセス全体の信頼性が向上します。
3)評価者の能力向上とコミットメント強化
評価者が自社の評価制度の意義と仕組みを自分の言葉で部下に伝えられるよう、十分な制度理解を促します。期中における部下の行動観察と事実記録の習慣化、面談スキルの向上も不可欠です。評価者研修だけでなく、目標設定や評価実施のプロセス全体を「面」で継続的にフォローすることが重要です。
4.まとめと次のアクション
評価制度は、人事制度を動かす「ソフト」の位置付けにあります。設計だけでなく運用まで目を向け、評価基準の明確化と評価者の能力向上に継続的に取り組むことで、従業員の評価への不安を払拭し、人事制度全体の有意味感を高めることができます。
まずは、自社の評価運用を「仕組み・基準の明確性」と「評価者への信頼」の2つの視点で見直してみてください。小さな改善の積み重ねが、従業員エンゲージメントと組織力の向上につながります。