コラム 人事の旬な話題

2026年02月27日
人事評価の公正性を歪める「無意識の偏見」
~アンコンシャス・バイアスが組織に与える影響と対策~
1.評価の公正性が問われる時代、
あなたの会社は大丈夫?
「評価に納得感がない」「優秀な人材が辞めてしまう」「管理職の評価スキルにバラつきがある」――
多くの経営者・人事責任者の方から、こうした人事評価に関する悩みを耳にします。評価制度そのものは整備されているのに、なぜか現場では不満が絶えない。その背景には、評価者自身も気づいていない「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」が潜んでいるかもしれません。「高学歴だから仕事ができるはず」「よく話す部下だから頑張っている」といった思い込みが、知らず知らずのうちに評価を歪め、組織の公正性やダイバーシティを阻害しているのです。
今回は、人事評価におけるアンコンシャス・バイアスの実態と、その影響を最小化するための実践的な対策についてお伝えします。
2. アンコンシャス・バイアスとは何か
1)誰もが陥る「無意識の偏り」
アンコンシャス・バイアスとは、自分では気づいていないモノの見方や捉え方の歪み・偏りのことです。「男性は決断力に優れ管理職向き」「女性は細かい気遣いが上手い」といった性別に対するステレオタイプや、「高学歴の部下=仕事ができる」と一つの目立った特徴につられて他の面も同様に評価してしまう「ハロー効果」などが典型例です。
2)人事評価における弊害
このようなバイアスは、採用・登用・評価など幅広い人事領域で不当な差別の要因となり、ダイバーシティを阻害します。評価者研修では、まず座学で知識や手法を学び、その後ケーススタディで実践するのが一般的ですが、時間が経つと我流に戻ってしまうケースが少なくありません。そこで重要なのが、評価者自身が「自分の評価がいかに適当か」を自覚することです。自身のクセや傾向を認識しておくことは、公正な評価を実現する第一歩となります。
3.セクション見出し
1)人事評価で最も強いバイアスは「対話頻度」
パーソル総合研究所の調査によれば、人事評価に最も強く影響するアンコンシャス・バイアスは「対話頻度」で、対話が多いほど評価にプラスの影響があります。次に強いのは「年齢」で、年齢が高いほど評価にマイナスの影響が出ます。注目すべきは、評価判断に影響を与える間接要素全体を100としたとき、「対話頻度」の影響割合が4割超を占めている点です。つまり、部下の視点からすれば、業務上の成果や実績以外で評価を上振れさせるには、上司とコミュニケーションをとっていればよい、ということを意味します。
2)マネジメント登用でも偏りが顕著
マネジメント登用においては、最も強いバイアスは「年齢」で、年齢が高いほどプラスに働きます。その次は「出身大学の偏差値」「対話頻度」と続きます。特に「対話頻度」は、人事評価だけでなくマネジメント登用でもプラスの影響があり、反対に対話が少ないほど両方でマイナスの影響があるという結果は見逃せません。
4.まとめと次のアクション
アンコンシャス・バイアスは、誰もが持ちうる無意識の偏りであり、完全に排除することは困難です。しかし、パーソル総合研究所の調査では、管理職研修やダイバーシティ研修の受講が、バイアスの影響を下げるという結果が示されています。これは、公正な人事評価を実現する上で、評価者に対する研修がいかに重要かを物語っています。制度の中身だけに拘り過ぎて、評価者研修が疎かになっているケースは少なくありません。
まずは自社の評価者研修の実施状況を振り返り、評価者が自身のバイアスを自覚できる機会を設けることから始めてみてはいかがでしょうか。